子供に対する男女の温度差はあると思う。
カズナが産まれた頃、Dさんはカズナを可愛いと思っていなかった。
「俺は子供を可愛いと思うことはないよ」
最初から断言しちゃってたくらい。
ミルクあげたりおむつ替えたり、あやしたりはするけれど、それは親としての「義務」だと考えていたから。
1ヶ月後、育児に慣れてきた頃、Dさんに聞いてみた。
「カズナ、可愛い?」
Dさんは淡々と返事をする。
「その辺にいるがきんちょと変わらんよ。」
・・・いつも世話してて、そんなわけないじゃん。
全く、D男は素直さに欠ける、と私は思った。
でも、ま、メロメロなほど「かわいい~♪」というわけではなさそうだ。
2ヶ月後、カズナは目がはっきり見えるようになり、笑うようになった。
ある日、Dさんがカズナの顔を覗き込むと、カズナとばっちり目が合った。
じっとDさんを見るカズナ。
動けなくなってしまったDさん。
そのままわずかな沈黙が流れる。
と、次の瞬間、カズナはにっこりと満面に笑った。
その瞬間、Dさんは完全に固まってしまった。
(おちたな)
私は心の中でにやっとなった。
最近、もう1回私はDさんに聞いた。
「カズナ、可愛い?」
Dさんはちょっと間をおいて、目線や表情を変えないまま小さく言った。
「うん。」
そして気まずそうにすぐに話をそらした。
Dさんは相変わらず淡々とカズナに接しているけど、「何しとんじゃ」とか「お~?」とか、言葉がけが多くなった。
確実に私とのカズナに対する温度差は縮まってきていると思う。
正直、私自身もカズナを可愛いと心から思えるようになったのは最近。
今までは「可愛い」と思いこまないとやっていけなかったっていうのが本音。
最近は夜4~6時間まとまって寝るようになったし、あんなに嫌がってたおっぱいも抵抗なく飲むようになったし、「アゥ~」「エァク~」「ウ―」とか一生懸命おしゃべりするようになったのだ。
これからカズナは自分で動けるようになるし、ご飯食べるようになるし、指示動作ができるようになるし、後追いするし、言葉を話すようになる。
どんどん可愛いって思うようになるんだと思う。
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