朝、出勤してまもなく一本の電話を受けた。
それは、以前ここの病棟に入院していた患者さんのケアマネージャーからで、今朝、その患者さんが在宅で亡くなった、というものだった。
昨夜、吐血だか下血だかで多量出血したため、夜のうちにこちらの病棟には連絡がきていたということだ。
その方はまだ50代、子宮ガンだった。
治療をする途中で、骨に転移していることが分かり、もう治療のしようがないと告知され、余生を在宅ですごすために頑張っていた人だ。
私が担当だったから、よく覚えている。
骨が侵されてしまったため、腰椎が圧迫骨折をし、歩行器を押しながら、それでも自分のことは全て自分でする人だった
ちょっと私がまいってた時に、「看護婦さんがそんなことでどうするの!」って叱ってくれた人だった。
私が知る中で、一番「今」を精一杯生きていた人だったと思う。
その人は最期を自宅でむかえたいと考えていた。
だから在宅で生活する準備ができるまで、病院でADL(日常生活動作)を保とうと、ガンによる痛みを麻薬でコントロールしながら頑張って動いていた。
そのケアマネージャーさんから、自宅で亡くなったと聞いて、私はほっとした。
「昨日のうちに病院に連れてこれば良かったのに」なんて言う人もいたけど、私は連れてこられなくて良かったと思っている。
よっぽど苦しんでいたなら別だけど、そうじゃなかったら、もし病院に連れてこられたって輸血とか点滴とか酸素とかして、少しばかり延命させられるだけだもん。
・・・Yさん、大好きな家庭で、家族に囲まれながら最期をむかえられて良かったね。
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